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中小企業の労務管理(労働者派遣と偽装請負の問題)

2018年02月08日メルマガバックナンバー

皆さん,こんにちは。
「さいたまシティ法律事務所」の弁護士蓼沼佳孝です。

 

今回は、中小企業の労務管理のために、労働者派遣と偽装請負の問題についてご説明いたします。

 

自社の従業員に、他社の事務所や店舗等で働いてもらう場合には、労働者派遣法等に違反しないかどうかの検討が必要となります。

 

この検討は、法的には、請負と労働者派遣の区別という問題になります。
というのは、労働者派遣については、労働者派遣法等の法律で、派遣元と派遣先の双方に、労働者を保護するための種々の義務や規制が課されますが、一方、請負では、労働者の保護が十分に確保されない場合があります。
そこで、労働者派遣法等の規制を免れるために、形式上は、請負契約の体裁をとりつつ、実質的には、違法な労働者派遣が行われることがあります。
これがいわゆる偽装請負と呼ばれるものです。

 

そもそも、請負とは、他社から「この仕事を行ってください」という形式で業務を受けることで、一方、労働者派遣とは、自社の従業員が、自社の指揮管理下を離れて、他社の指揮命令の下で業務を行うことを指します。
字面だけ見ると、請負と労働者契約は全く別物のようにも思えますが、例えば、最初に述べた例をもう少し具体的にして、仕事を依頼した発注者(他社)の事業所の一部に、自社の作業スペースがあり、仕事の一部を自社と他社の従業員が一緒に行う場合を想定すると、請負であるのか、それとも労働者派遣なのか判然としないケースがあります。

 

仮に、偽装請負と判断されると、刑事罰を科される危険性もあるので、会社としては、事業上の必要性との関係で、偽装請負と認定されることのないように十分に注意をしなければなりません。

 

労働者派遣ではなく、請負であると判断されるためには、次の2点が大きなポイントとなります。
1つ目は、自社の従業員を、自社が自ら直接利用することです。
具体的には、業務の遂行に関する指示を自社で行うこと、労働時間等について自社で管理すること、労働者の配置等の決定を自社で行うことなどが必要です。
2つ目は、自社が請け負った仕事を、他社から独立して行うことが必要です。
具体的には、業務の処理に関する資金、機械、機材等を基本的に自社で準備すること、業務の処理に関連し、種々の法律に規定された事業主としての責任をすべて自社が負うことなどが必要です。

 

なお、今日では、受付、経理等の業務においてアウトソーシングが行われることがありますが、アウトソーシングを行う企業も受け入れる企業も、双方ともが、違法な偽装請負との疑義をもたれないよう、労働者派遣との違いを意識して業務を行う必要があります。

 

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